人間は、出産は、なるようになる??
妊娠前、子宮がん検診で子宮筋腫があることが判明しました。
当時はおよそ4cmという大きさで、子宮の外側にあるので特に取る必要もないでしょうという医師の見解で、そのまま様子を見ることに。
数ヶ月後、子宮にチクチクとした痛みがあるなと思ったら妊娠が判明。
着床による痛みだと思っていましたが、こぶし大の子宮と同じ大きさになっていた筋腫の痛みだったんです。
まるで針で刺したような、ごくごく小さな痛みでした。
初期の妊婦健診で、子宮筋腫が産道のそばにあるので自然分娩は難しいかもしれないと言われました。
安定期に入ったある日、お腹に激しい痛みが起きたので病院に駆け込むと、8cm程に大きくなった筋腫が炎症を起こしていました。
歩くことも座ることも寝返りも打てないほど激しく痛み、診断結果を聞くまで赤ちゃんを諦めるしかないのかもしれないと感じるほどでした。
その日のうちに入院。
医師によれば、点滴や内服薬で炎症の数値がおさまらなければ、妊娠したまま緊急手術をするしかないとのこと。
幸い状態は良くなりましたが、肥大した筋腫の位置は良くなく、赤ちゃんの頭は産道を通ることができないだろうと言われた為、妊娠4ヶ月にして帝王切開を覚悟しました。
その後、6ヶ月目に同じ症状で再入院。
お腹の痛みは辛かったものの、赤ちゃんには何の影響もなかった事だけが救いでした。
妊娠後期に入っても筋腫がジャマをして赤ちゃんは下を向けず、長いこと横向きの姿勢でしたが、なんとか斜めではありながらも下を向いてくれました。
予定日の1ヶ月前、医師の判断で帝王切開での出産が決定。
「赤ちゃんは頑張って下を向こうとしてくれた」
そう考えると愛しくて愛しくて、母である私が頑張らなくてどうする??と自分に喝を入れ、出産に向けて準備をする日々。
38週でオペをする事になりましたが、その頃には早く赤ちゃんに会いたくて、でも傷の痛みは怖くて…
何より怖かったのは麻酔の注射でした。
オペの前日に麻酔科の医師に受けた説明で、背骨の間に針を刺すので、ここで動くと大切な神経などを傷つけて大変な事になると聞かされた為です。
手術台に登った時が人生最大の恐怖でした。
麻酔の処置は難しいそうで予定よりも時間がかかり、オペの時間も押しました。
やっと針が刺さったと思ったら、両脚に「ジュワッ」と、まるで生暖かい液体が注入されたような感触が…
麻酔が効いたか確認されると同時にオペ開始!
お腹を切られたような雰囲気がなんとなく伝わってきていましたが、その頃にはもうそんな事よりも妊婦生活で大変だった事が走馬灯のように頭を駆け巡り、赤ちゃんはまだ産まれてもいないのに感動の涙を流していました(笑)
お腹が痛くて入院したこと、赤ちゃんを諦めなくてはいけないかもと不安だったこと、主人や周りの人にたくさん心配をかけたこと…
事前説明で聞いていたよりも赤ちゃんが出てくるまで時間がかかりました。
痛みはないものの身体は振動し、お腹を押され、なかなか出ないな〜と思いながら泣いていると「ゴボゴボッ…ギャ〜」という赤ちゃんの泣き声が??
陣痛も経験せず、カンガルーケアもできず、産まれてすぐに乳首を吸わせることもできなかったけど…
でもいいんだ。君が無事に産まれてきてくれただけで。
そう考えて赤ちゃんの手を握りながら「ありがと、ありがとね…」と我が子に会えた喜びを味わっていました。
その日はしばらく麻酔が効いていて、辛うじてゆっくり携帯を操作する事が出来る程度。
でも両手を使うことはできず、わずかに右手で最低限の連絡を取る程度でした。
術後は当然傷が痛み、本来は翌日に歩かなくてはいけないのですがベッドから降りることもできず…
赤ちゃんを連れてきてもらっても、痛みでミルクをあげるのも無心でした(笑)
新生児室にいる赤ちゃんに会いたくて、オペの翌々日には頑張って歩きました。
赤ちゃんがそばにいると不思議と痛みを忘れるようになっていたんです。
キズも日に日に良くなるし、なるようになるんだなと。
自然分娩とほぼ同じ日数で退院。
里帰りもせず、夏季休暇を取ってくれていた主人と2人で産後すぐの育児も乗り切りました。
経験していない事を経験するのは恐怖を伴うと思います。でも今や帝王切開はごく一般的な手術です。手術の不安を抱えていても、赤ちゃんの泣き声が必ず全て払拭してくれます。周りの経験者にアドバイスを求める場合、知識のみをうまく吸収し、恐怖を感じる部分は頭に残さないようにしてゆったり過ごしましょう??
それと、出来れば妊娠前に生命保険に加入すること。
妊娠中の入院費や帝王切開の保険金がおりて、だいぶ助かりました…