息子が自閉症スペクトラム障害とわかるまで
次男が生まれてまだ2ヶ月の頃、私たち家族は夫の転勤が決まり、新しい環境へ引っ越ししてきました。長男が2歳半、次男が生後2ヶ月でした。新しい環境にも徐々に慣れてきた頃、私はふと、長男のある事に気がつきました。
もともと大人しくてマイペースな、のんびりとした性格の長男。そんな彼が、独り言を言うようになっていたのです。音の出るおもちゃやテレビ、CM、DVD、iPad…そこから覚えたフレーズの繰り返しでした。独り言はどんどん増え、就寝前や起床時に挨拶の代わりに出るようになりました。
これまで、年齢相応の発達をたどり、言葉数は少ないものの二語文も時々出てた長男。物の名前やアルファベットもすぐ覚え、むしろ天才かも、と思われていた長男。それが、会話の代わりにどんどん独り言が目立つようになったのです。
何か、おかしい。
私はすぐにネットで調べました。
そこで気づいた、「自閉症」というワード。すぐにピンときました。おうむ返し、逆さバイバイ、目が合わない…症状全てが当てはまる、というわけではありませんでしたが、独り言以外にもいくつか症状が当てはまっていたのです。
独り言なんて普通の子どももする。確かにそうでしたが、私の不安は的中しました。
普通の子どもと圧倒的に違うのは、意思表示が殆ど無い、ということでした。「自閉症」と気づいたその時から、私の中で何かが崩れ落ちました。3歳まで待ってみよう、3歳まで待って、言葉が増えないようなら病院へ行こう。
今思うと、すぐに病院に行って、診断を仰ぎ、療育を探すべきでした。しかし、乳児を抱えた私には、心に余裕はありませんでした。大好きな大好きな我が子が「自閉症」、「障がい者」、「一生治らない」。ネットの中のその言葉が私を苦しめ、そして大好きな長男を苦しめてしまったように思います。
どうして独り言を言うの、どうして目を合わせてくれないの、どうして、どうして…。毎日毎日、泣き続けました。時には、長男にぶつけました。
3歳になり、長男の独り言は変わりませんでした。
区の保健師、心理士に相談し、民間の病院を紹介されました。区の発達センターは受診で半年待ちだった為、一刻も早く病院へ行き、そこでは面談と簡単な発達検査でしたが、医師からは「自閉症スペクトラム障がいでしょう」と言われました。医師は私の気持ちに配慮し、言葉を選んでくれていましたが、私は安堵も落胆もせず、ただ、はい、と聞いていました。
そして、すぐに区にあるNPO法人の療育を探し出し、週に2〜3回療育へ通うこととなりました。
療育に通い始めて4ヶ月後の3歳4ヶ月頃、今度は区の発達センターの受診が決まり、そこで発達検査を受けました。医師と親との面談、長男と心理士のやり取りが行われ、そこで医師からは「非定型自閉症(自閉症スペクトラム障がい)」と診断されました。自閉症の症状がそれ程強くは無いが、そのくくりに入る、と説明を受けました。
お子さんをよく見ていてください。
お子さんが話していることや話している時の表情をよく見ていてください。
もし、何かおかしいと思っていたら、すぐに必ず誰かに相談してください。そして、どんな結果であっても、お子さんはお子さんです。普通であるとか普通じゃない、そんなものは関係ないです。お子さんには計り知れない色々な希望がたくさんあることを知っておいてください。