退屈なようで幸せな入院生活
32週目の健診で、経管長が2cmになっていたので、絶対安静を指示されました。飲み薬のウテメリンを処方してもらい、安静にできなかったり、ウテメリンを飲んでも張りが続くようなら即入院!と言われ、一旦帰りました。なるべく家事もしないでベッド上に居るようにしましたが、トイレに起きるだけでも張り、ウテメリンも効かないので、翌日に入院させてもらいました。
基本的にはベッド上安静です。ベッドから降りることを許可されているのは食事の際にイスに座ることと、20m程歩いた先のお手洗いのみ。お風呂シャワーは禁止、代わりにタオルで体を拭き、2〜5日に一度は洗髪をしてもらいます。落ちた物を拾うのも無意識に腹筋を使うのでダメ。ベッド上での姿勢は頬杖をついて横向きはダメ。長座や体育座り、お姉さん座りもダメ。ベッドでは正座かあぐらで座る。など、なかなか注意が多く、一言に安静と言ってもかなり窮屈なものでした。
入院中は毎日1回お昼前後にモニターをつけるのですが、その時間帯には張りは少なかったです。23時頃から胎動も活発になるので、それに合わせて張りも増えてきます。深夜に分娩台でモニターをつけてもらい、小1時間様子を見ます。それからウテメリン点滴を強めてもらい、効果をみるためにまた小1時間経過を見ます。深夜の約2時間、寝ずに胎動と張りを感じるだけの時間です。しかも分娩台で。ときには隣の分娩台(カーテン一枚で仕切られているだけ)にお産が始まる前の方が入ってこられました。こんな状況はもう、数日後、数週間後の自分のお産の様子を想像するしかありません。お隣に合わせて呼吸法を練習してみたり、張りの強い時は「まだよー!まだ出てこないよー!」とお腹に話しかけてみたり。
私が入院していたのは産後の母子同室ベッドだったので、隣のベッドから新生児の可愛らしい小さな泣き声や寝息が聞こえてきて、とても幸せな気持ちになりました。そんな中、自分のお腹に触れて、我が子に心の中で話しかけると、本当に幸せな時間が流れました。
これが入院ではなく自宅安静だったら、きっと毎日何度も、張りを感じる度に必死に張りの間隔を数え、「まだ出てきたらダメー!」と焦りを感じていたに違いありません。それがストレスになり、早産の引き金を引いてしまっていたかもしれません。
ですが私の場合ゆっくりと入院をして、助産師さんたちとも顔見知りになり、他愛のない話もできる仲になり、笑って過ごすことができました。
36週3日目の深夜、陣痛らしき痛みで病院へ向かい、分娩台へ案内され、「あら、一週間で帰ってきたねー!おかえりー!もう産むのー?まだでしょー?」なんて言われながらモニターをつけてもらいました。35週2日目までの3週間入院していたので、分娩台や助産師さんたちの雰囲気に緊張することなくお産に入ることができました。おかげで分娩台にあがってからたった2時間の、超安産となりました。もちろん元気な赤ちゃんが産まれました。
今振り返ってみても、とても楽しく入院生活を送れていましたし、母親になるための心の準備ができた期間だったと思います。その間ひとりで過ごしていた主人や、着替えや差し入れを持ってきてくれていた実母にも大感謝です。
赤ちゃんはお腹の中で一生懸命生きています。毎分毎秒、少しずつ成長しています。一日でも長くお腹の中に居られるよう、穏やかな気持ちで過ごしてあげてください。とても深刻な状況の方もいらっしゃるかもしれません。笑える状況ではない方もいらっしゃると思います。ですが、なるべくお腹に手を当てて、赤ちゃんに前向きな言葉をかけてあげてください。それが親子で共有した幸せな時間となるはずです。