全く気づかなかった妊娠高血圧

私は妊娠の前年に子宮筋腫の腹腔鏡手術をしていた為最初から帝王切開が決まっていました。妊娠が分かってからは食事や睡眠はなるべく気を使っていたつもりです。仕事は運送業の事務でしたが接客と荷物を持ったり力仕事中心で9ヶ月になる少し前まで働いていました。多少の重たい物は持っていましたが安定期に入る前も全く問題なく過ごしていました。8ヶ月過ぎてから血圧の上が140を超えるようになり血圧を下げる薬を処方されました。その薬のお陰か140を超えることは暫くありませんでした。予定帝王切開は陣痛が来る前に手術するので妊娠36〜38週の間で予約をします。私は37週で出産する予定でした。産休に入った翌日の34週の検診で血圧が140を超え尿蛋白も出てしまいその日の内に入院と言われてしまいました。この時も自覚症状は全くありませんでした。ただ、先生や看護師さんには頭が痛くないかとしきりに確認されました。病院までは自分で20分程運転して行っていたので頭が痛くなったらすぐに病院に連絡するようにと何度も言われました。その時は何故そんなにしつこく言うのだろうと不思議に思いましたが後から先生に聞いたら血圧が上がると脳の血管が切れて脳内出血を起こす危険性があるとの事でした。私が一人だったので不安になるような事は言わないでくれたのだと思います。恐らく聞いていたら運転どころではなかったと思います。主人は自営で家にいたので入院で安静にする事を話し入院の支度や家の片付けをして二人で病院に向かいました。


入院病棟に入ってすぐに今までと違う薬を出されました。入院すると外来より強い薬が出せるそうです。入院手続きや部屋の説明を受けている間も何度も頭痛がないかの確認をされました。今思うといつ脳内出血してもいい位の危険な状態だったのかと恐ろしくなります。赤ちゃんは元気で体重も2000gはあるからいつ出てきても大丈夫との事でした。でも赤ちゃんは1日でもお腹の中にいた方がいいので安静にしてまずは35週を目標にがんばろうと先生に言われました。夜の血圧はギリギリ上は139、下は95。面会時間ギリギリまで主人が一緒にいて普段通りのおしゃべりをしたり過ごしましたが帰ってしまった後、自分の何がいけなかったのか？赤ちゃんに申し訳ない等とても落ち込みました。安静入院で産科ではなく婦人科に入院だったので同室の方はおばあちゃん3人でした。人生の先輩は落ち込んでる私を励ましてくれました。この時、産科で妊婦さんや出産を終えた人達と同室じゃなくてよかったと思いました。その日は眠りにつくまでずっとお腹を触りながら一分でも一秒でも長くお腹にいられるようにがんばるねと赤ちゃんに言っていました。


しかし、その甲斐なく翌朝の血圧測定で看護師さんが慌てて先生に連絡をしてバタつき始めました。もちろん頭痛がないかと何度も聞かれましたが全く自覚症状なし。先生も慌ててやって来て再度血圧を測り頭痛の有無の確認をし赤ちゃんを出さないと私が危険な状態になってしまうので今から手術をすると告げました。青天の霹靂とは正にこのこと。と同時に不安が一気に溢れ涙がポロポロ出てきてしまいました。それを見て先生がご主人が来るまで待つからどれくらいで来られるか連絡してと言われできるだけ早く来るように連絡しました。連絡をしている間に手術室、スタンバイの小児科の先生の手配を全て終わらせてくれていました。30分程で主人が到着して「はい、顔見たね。行こう！」と看護師さん。エレベーター乗り場で主人が「僕も乗った方がいいですよね？」と聞くと「旦那はいらない！！」とまた看護師さん。主人も私も一緒にいた先生も爆笑。看護師さんは本当に申し訳ありませんと言っていましたが、私は凄くリラックスできてよかったです。


麻酔をして手術開始。意識がはっきりしている中自分のお腹が切られているなんて不思議な感じでした。「赤ちゃん出ます」と先生が言うと先生の手の中に小さな赤ちゃんが！そしてすぐに「おぎゃー！！」と泣いてくれました。すぐ泣いてくれて本当にホッとしました。小児科の先生に手渡され身体を拭いてもらってすぐに顔を見せてもらいました。ただ早産の為体温調節が自分でできないのですぐに保育器に入りNICUに移動してしまいました。


赤ちゃんは2100gの未熟児でしたが幸いにも異常はなし。小児科の先生も「産まれてすぐに泣いてくれたので僕達もやる事が何もなかったですよ」と言ってくれたので安心しました。私自身の血圧も正常よりはやや高めでしたが危険な状態からは脱出できました。その後は1ヶ月薬を飲み正常値に戻りました。小さく生まれた我が子も早く生まれた分検診が多目でしたがそれはそれで安心で1歳になる頃には体格も標準ラインに到達できました。