思いもよらなかった妊娠高血圧症候群
36歳初産の高齢出産でしたが妊娠後期までは大きなトラブルはなく比較的順調に過ごしていました。それが、37週目の健診時に事態が一変し、妊娠高血圧腎症と診断され肉体的にも精神的にも大きなダメージを受ける結果となりました。
37週の健診では医師から血圧の上昇と尿蛋白が増えたことを指摘され、健診後そのまま入院となりました。
入院の準備がないにも関わらず自宅に戻ることもできず、あまりに突然の出来事に悲しくなり泣きながら診察室を後にしたのを今でも覚えています。
その後、担当して頂いた助産師さんの話ではとりあえずの管理入院となり、体調が整えば数日で帰宅できる場合もあるという事だったので、その可能性に賭けたいと思いながら、採血や尿検査などを受けました。
私が出産したのは産科に定評のある総合病院で、助産師さんだけでも50名以上が在籍している県内でも有名な病院だったため、検査の環境も整っており病院内ですぐに検体を調べることができる施設でした。
そのため、先ほどの検査結果も徐々に出はじめ、助産師さんから「ちょっと状況が良くないかも…」と言われ、その後間もなく先生から状況の説明がありました。
現在は赤ちゃんが元気だが、私の血圧が200近くまで上がり、さらに尿蛋白の異常値が高すぎるため、今後赤ちゃんが弱ってくるかもしれないということ。血圧が高いので自然分娩をした場合、私の頭の血管が切れたりする可能性があり母体にも影響が起こるとのこと。この状況を回避するには妊娠を終わらせる(出産)するしか方法がないことが告げられました。
結局、様子をみている時間はないとの判断で、そのまま緊急帝王切開をする事になりました。
手術は半身麻酔のため痛みはありませんが意識はありました。初めて受ける手術の恐怖と、突然の出産を受け入れることができずに手術中もずっと涙が止まりませんでしたが、赤ちゃんの産声を聞いた瞬間に、それとは別のあたたかい涙が流れてきました。今までにない一番温かい涙があふれてくる感覚が自分でもわかり本当に驚きました。
生まれた赤ちゃんは2150gと小さめでしたが、その後は順調に大きくなり約2週間で母子共に退院することができました。
私のほうは出産後すぐには血圧と尿蛋白の数値が下がらず、血圧が高い時は降圧剤の薬を飲んでいました。数ヶ月おきに内科の外来にも通い経過観察しましたが、完全に元の状態に戻るのに1年位かかりました。
後になって助産師さんが教えてくれたことですが、尿蛋白の正常値は2桁のところ私は4桁になっていて「腎臓が悲鳴をあげていたよ」と言われました。
妊娠高血圧症と診断される少し前から排尿痛があり、トイレに行くのが憂鬱でしたが、それは妊娠による体の不調、つわりの一種だと勝手に判断していました。
でも今思えば高血圧症の症状で腎臓が機能していなかったのかもしれません。
あまりにたくさんの出来事が一度に起こり、当時は受け止める余裕がありませんでしたが、出産から間もなく2年が経ち元気な息子の姿を見るとあの時無事に生まれてきてくれて本当に良かったと思います。
帝王切開ということで悲しい気持ちにもなりましたが、私たちが無事であるにはこの選択が最良の方法だったので、今は判断して頂いた病院にも感謝しています。
何か不調を感じた場合はつわりなどと自己判断せずに、随時、先生や助産師さんに相談することをお勧めします。