時間との戦い、忍耐の向こう側。
それは予定日当日。
何の前兆もなく、痛みもなく、突然の出来事でした。
朝起き上がってすぐ、歩いたと同時にジワーっと生温かいものを感じました。
尿漏れ?出血?いや、まさか…。
嫌な予感がしつつ、携帯を片手にトイレに駆け込みました。
あーやっぱり。
落胆も早々に義理母へ電話、夫にも電話、入院グッズの確認、上の子の朝ごはん準備と休む間もなく…。
動けば動くほど、チョロチョロと何度か破水も進んでしまいました。
入院したらお風呂禁止になるからってシャワーで流すのも×
ナプキンを当てるのも雑菌感染の恐れがあるから×
濡れた下着を破水検査で使う可能性あるから着替えるのは×
覚悟を決めて、お腹の子のためにできる事を考えました。
思えば1人目も高位破水からの出産、2人目も
この調子じゃ体質なのかな?
と破水慣れしてしまっている自分もいました。
すぐに駆けつけてくれた義理母に上の子を預けて、ホッとしつつ上の子を預けて手配していたマタニティータクシーに乗り込みました。
家から持参したペット用の防水シーツを座席に敷いて、運転手さんに破水の件も伝えました。
陣痛が来ていないので、急がなくて大丈夫です!とにかくゆっくり安全運転でお願いします!!!と念押しして伝えました。
1人目の破水の時に、急いで病院に行かなきゃと必死に自転車を漕いで行ったらすごく怒られたので。
破水の時は振動を極力抑えつつ、安静が大事だと思い知りました。
受付で、すみません破水しました!と伝えると奥から出てきた車椅子に乗せられて検査室に行きました。
1人目に続き、またしても高位破水。
赤ちゃんを守る膜の上の方が破れて、羊水が外に出てきてしまっている状態。
破水にも色々と種類があって、膜の下の方が破れると出口に近いため羊水の減りが早かったり、感染の危険性が高いらしい。
幸い破水は少量で済んで、羊水もまだたくさんあるし、また作られるから大丈夫。
予定日当日だから発育も十分。
ただし、子宮口が全然開いていない。陣痛も全く来ない。
感染のリスクから守るために抗生物質の飲み薬や点滴で予防しながら、そのまま出産まで入院することになりました。
出産が楽しみで順風満帆の入院生活!なんてのは幻なのかもしれません。
一番辛いのが、お風呂に入れないこと。
汗拭きシートや顔洗うくらいしかできないのが本当にしんどいです。
二番目に辛いのが、繋ぎっぱなしの点滴。
トイレも御飯もずっと付け続けなきゃいけないし、動くたび痛いし痒い。
取りたくなる程煩わしいし、針の跡がアザになるほど地味にしんどい。
三番目に辛いのが、NSTことノンストレステスト!
母体にとっては全然ノンストレスじゃない!
寝てても有無をいわさず起こされて、1時間ごとくらいに毎回NST。
細切れ睡眠で熟睡できない。
ただでさえお風呂禁止なのに、頻繁にお腹にジェルみたいなのつけなきゃいけないし。
拭き取った後も微妙に痒い。
心拍確認で赤ちゃんの様子を逐一チェック。
元気ならそのまま陣痛待ちの入院生活続行!
急に元気がなくなってしまったり、破水が続いて3日以上経過してしまうと緊急帝王切開もあり得るとの事で、同意書も書きました。
全体的に辛いのが精神面。
この先どうなるのか、いつ生まれるのか、不安と期待でずーっとヒヤヒヤしっぱなしの入院生活。
上の子と一緒にいられずに申し訳なくて、お腹の子の事も心配で。
母親として何もできてない無力感に打ちひしがれてました。
妊産婦さんの入退院の入れ替わりで、寝泊まりの部屋がコロコロ変わったり。
部屋が足りなくて陣痛室での寝泊まりになった時は、自分より後に来た妊婦さんが、陣痛で悶絶する叫び声を夜な夜な聞き続けたり。
どんどん出産していくのを横目に、NSTを数時間ごとに淡々と受け続け。
検査続きの睡眠不足や絶対安静の寝たきり状態で気力も体力も失われ。
陣痛の辛さや恐怖の隣で、次は自分の番かも?とだんだん産むのが怖くなったり。
もう、早く解放してほしい。そろそろ限界だぁー!
と思っていたのを知ってか知らずか、痺れを切らした先生が、陣痛促進剤の使用を提案してくれました。
陣痛促進剤の点滴が始まってからは、急降下のごとく強烈な陣痛が来てNSTのメーターが振り切れるくらいの数値になりました。
あまりの進みの速さに先生達も大慌てで準備しながら、分娩台に上がる前に頭が出てきそうになったり、いきんだら1人目の時の会陰切開の跡がパックリ裂けたり予想以上でした。
陣痛を待ってた間はあんなにつらく長い戦いだったのに、分娩台ではたったの15分で出産。
出産の数だけドラマがあるんだなと実感しました。
私の場合は2回の出産経験で何回も高位破水がありました。
どれも生理が来た時に近い感覚で、自分で止めたり出したりコントロールできない感じでした。
無色透明で無臭のお湯みたいでした。
量もちょっと濡れたかな程度で、確実な事は病院の検査じゃないとわかりませんでした。
破水かな?違うかも?間違いだったら恥ずかしい?ときっとみんな迷うと思います。
でも、赤ちゃんからのSOSかもしれません。
焦らず冷静に、現場のプロの判断に任せる事も選択肢の一つとして後々の結果に繋がると思います。
不安があって当たり前。
みんな必死で産まれて来たんだって体感できるのはママの特権かもしれません。
お腹の中に居られる数ヶ月を大切に、産まれる瞬間を楽しみに暖かく迎えてあげて下さい。